原著者: | James Hamilton |
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原題: | Private Clouds Are Not The Future |
原文: | http://perspectives.mvdirona.com/2010/01/17/PrivateCloudsAreNotTheFuture.aspx |
原文公開日: | JAN 17, 2010 |
クラウドコンピューティングは、エンタープライズのITの経済性を大幅に向上させるチャンスです。私たちは、より少ない投資で、本当に数多くのことができるようになります。
私は、エンタープライズITというのは、競争を勝ち抜くための武器であり、すべての業界において、業界のリーダーとなる企業は情報処理に対して、さらなる投資を行い続けるでしょう。それぞれの市場セグメントの中で一番となる会社は、その投 資のおかげで情報処理のエキスパートとなり、顧客についても良く理解して、サプライヤーの選択をするときにも適切な相手を選ぶことができるようになり、深い知識をもってサプライチェーンをコントロールできるようになり、驚くほど効率的な配送システムを構築するでしょう。情報処理への投資のおかげで、すべての仕事の質と効率が高められます。これらは、小売企業、金融系企業、油田開発企業、製薬業、スポーツチーム、ロジスティックスの企業などの未来の現実です。これらの現実から逃れられるセグメントはないでしょう。また、多くのセグメントは、もう現実となっています。競争相手以上のITへの投資というものが、唯一、顧客と株主へ報いる手段となっています。
私には、情報技術への投資こそが、すべての成功を収めた企業の未来につながる道であることは明らかです。また、現在もほぼそのような状態になっています。これに関して、朗報があります。コストをより低減し、効率的にして、環境への影響も少ない方法です。それはクラウドコンピューティングを利用することです。私たちは、より少ない投資で、本当に数多くのことができるようになります。
クラウドコンピューティングに関する議論は業界レベルでは承認を獲得することができています。しかし、何人かの企業とアナリストはエンタープライズのITインフラの経済性を向上させる方法として、プライベートクラウドというものにこだわっています。私の感覚では、歩き出す方向性としては正しいと思うのですが、規模の経済によって受ける恩恵は、リアルはクラウドコンピューティングよりも効果が低いと考えています。違いはなんでしょうか?スケールの面で、理想スを共有する枠組みの範囲内であれば、よりよいサービスを少ないコストで使うことができるようになります。高性能なリソースも使用ができます。コストと、リソースの利用の利点については、後ほど詳細に見て行きます。
大規模なスケールにおいては、配電、機械システムのエキスパートのチームを持つことが、手頃な値段と性能を獲得するための手段となります。主要なクラウドコンピューティングのプロバイダーは、これらのチームを持ち、コストを下げたり効率を上げたりして、より環境に良いと言えるように、新しい技術に投資をしています。10数メガワット未満では、スケールさせてもコスト・効率を良くして行くのは難しいです。同じような議論を他のドメインにも広げると、クラウドコンピューチングのプロバイダーは、サーバおよび記憶装置に特化したチームを持っているでしょう。彼らはネットーワークに関するハードとソフトウェアに深く投資をしています。これらはすべて、プライベートクラウドの範囲のスケールでは正当化しにくいものです。
クラウドコンピューティングのプロバイダーには、24時間、年中無休でサービスをモニターしたり、顧客の問題に対応するスタッフを抱えています。サービスのモニターを行うというのは、極めて難しいことです。数メガワット以下の規模で、それらをうまく行っている例を私はまだ見たことがありません。
クラウドコンピューティングのプロバイダーには、世界で最も優秀な、分散システムの専門家が何人も所属しています。オープンソースに関するエキスパートもいて、オープンソースと、内部で作成したソフトウェアの両方に対して、深く依存しています。このようにしている理由には2つあります: 1) 高度にスケールすると、今まで全く考えていなかった、ワクワクするような理由でシステムが失敗しますが、その際にうまく扱えるかどうかは、ハードウェアとソフトウェアの両方に関する深い知識があるかどうかにかかっていて、 2) 効率のために高度にスケール場合には、ほとんどのクラウドサービスのすばらしい経済性を達成するには、ソフトウェアのライセンスのコストとは両立しないからです。
リソースの活用というのは、未だに、高度にスケールした共有のインフラ上のクラウドに移行が行われるだろう、ということに対しての、強い論拠になっています。スケールにおいては、顧客の多様性が高ければ、クラウドの素晴らしい特性である、「相互に関連のないピーク」が現れます。会社ごとに、ピークの負荷に耐え切れる能力を供給しなければなりませんが、共有されたクラウドで実行されていれば、負荷のピークと底の間で、スムーズに実行が行えます。11月の販売のピーク、4月の税金のピーク、4半期の終わりごとの金融ビジネスのピークなど、これらの多くの負荷はそれぞれ毎日、週ごと、年ごとなどのサイクルを持っていて、それらを重ねあわせになります。例えば、マイケル・ジャクソン死去のニュースは、いくつかの領域で重い負荷を与えることになりましたが、ほとんどなかった領域もあるでしょう。東海岸の巨大な嵐のニュースは、いくつかのビジネスでは大規模なピークを与えることになりますが、ほとんどなかったという企業もあるでしょう。大量の多様な負荷をまとめて考えると、少ししかスケールできない場合よりも、利用レベルが平均的に高いレベルになるという傾向があります。プライベートクラウドでは、共有クラウドで達成されているような、高い利用レベルは達成することができません。
先週、Alistair Croll氏は InformationWeek に素晴らしい記事を書きました。
正しいクラウドの利用者には必ずコスト面でのアドバンテージがあります。なぜなら、クラウドの利用者全員がいつも注目しているのはコストだからです。また、彼 らは消費者により近い位置にいます。というのも、どこにでもプログラム運用計画 (POP)があり、コンテンツ配信システムとパートナーシップを結んでいるからで す。消費者とパートナーを結びつけるということは、エンタープライズのIT戦略に おいて、ますます不可欠な部分になっていくでしょう。
プライベートクラウドへの投資は、一時的な対処法で最終目的地である、共有クラウドにたどり着くのを遅くする以上の価値はありません。プライベートクラウドで行くという決定は、利用レベルを低く使用という決定であり、多くのパワーを無駄に消費します。環境面での効果も低下し、高いコストがかかります。